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弁護士インタビュー / 留学・出向経験者

加賀山皓弁護士 (67期)

Q1. 総合商社の法務部に出向されていたとのことですが、留学や官公庁への出向という選択肢もある中でなぜ事業会社への出向を選択されたのでしょうか。

2015年1月に当事務所に入所し、日々業務に取り組む中で、幸いにも弁護士として対応できる分野は少しずつ増やすことができました。他方で、当事務所の先輩弁護士からは入所当時から常々ビジネスを理解することの重要性を伝えられていましたが、実際に様々なクライアントの皆さまとお仕事をさせて頂いていく過程で、自分が社会人経験なく弁護士になったこともあり、ビジネスのことをもっと知らなければならないし、私自身としてもそれを知りたいと感じており、入所後のかなり早い段階から事業会社への出向を希望していました。

もちろん渉外案件に関わる機会を得られる留学や、一定の法分野について最先端の実務経験を積むことのできる官公庁の出向にも興味はありました。しかし、それよりも企業法務に携わる弁護士としてビジネスの現場を知っておきたいとの想いが強く、その意味でビジネス分野が極めて広い総合商社への出向は最適だと思ったことから、事業会社に出向させて頂くことにしました。

Q2. 出向するまでの期間はどういった業務をされていましたか。

M&A、企業間取引と一般企業法務が中心でしたが、紛争解決や事業再生・倒産処理についてもしっかり経験を積むことができました。専門性を鍛えながらも、全体としてはとても幅広い分野に取り組むことができたと思っています。

Q3. 出向中にはどのような業務をされていましたか。

最初の1か月間は日本・東アジア地域の法務、残りの1年6か月間は機械・インフラ関連の法務を担当していました。

主として、電力・再生可能エネルギー(発電所組成、電力小売事業等)・ヘルスケアインフラ等に関する分野と、航空・宇宙・船舶・自動車等のモビリティに関する分野について、M&Aや事業投資、業務提携、輸出入関連の企業間取引、紛争対応等の幅広い領域を担当していました。

日々の業務は営業部の皆さんからの法務相談への対応と契約書のドラフティング・レビューが中心で、英文契約書のドラフティング・レビューもある程度の割合を占めていました。また、案件の初期段階から相談を受けることがほとんどだったので、M&Aや事業投資ではストラクチャー構築にも多く関与することができました。

Q4. 事業会社に出向して良かったと思うことを教えてください。

正直なところ出向して良かったことは数え切れないほどあるのですが、まずは、出向の目的であった、ビジネスの現場を知ることができたことです。出向中は、あるビジネスのプロがすぐ近くにいるという恵まれた環境だったので、契約条項に落とし込んでいく前提として、その方が何をしたいのか、どういうことを考えているのか、あるいはもう少し大きな観点で、今後そのビジネスがどういう方向に進化していくと予測されるかなどについて、つぶさに話を伺うことができました。事業会社の意思決定プロセスを理解できたことも大きな財産です。

また、総合商社では常に新しいビジネスの種を探しており、様々なビジネス分野において最先端の領域に挑戦しておられました。そういった領域では法務についても確立されたプラクティスが存在しないことも多く、新たなプラクティスを作る意気込みで案件に取り組んだことはとても良い経験になりました。もちろん新しい分野に飛び込むことは勇気が要りましたが、営業部や法務部の皆さんと協力して1つずつ課題をクリアし、無事に案件を実現させることができたときの喜びは忘れることができません。営業部や法務部の皆さんとは出向後も続く信頼関係を築くことができたと思っています。

Q5. 出向の経験をどのように業務で生かしていきたいと考えていますか。

出向前と同様、当事務所で、M&A、企業間取引と一般企業法務を中心としつつも、出向中に担当した電力・再生可能エネルギーやモビリティ等に関する分野の業務にも取り組んでいますが、ビジネスの現場を知り、クライアントの皆さまが求めておられることの一端を内部から理解することができたことは、弁護士としていかなる業務においても生かすことができると考えています。また、当事務所で出向前から幅広い分野に取り組むことができていたことは、幅広い領域に対応することを求められる出向先の事業会社でも大きなメリットでしたが、出向の経験によって、益々対応することのできる業務分野が広がりました。

弁護士としても、1人の社会人としても成長することができたと感じています。

今後も、出向の経験を生かして、クライアントの皆さまのビジネスを理解し、あらゆるビジネス分野において皆さまに寄り添った対応をすることにコミットしていきたいと思っています。

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